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第478回 定期演奏会
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2005年4月28日(木)19:00開演、29日(金祝)15:00開演
指揮 尾高忠明
(札響音楽監督)
独奏ウラディミール・フェルツマン(ピアノ)
尾高惇忠 / オーケストラのための「肖像」
ラフマニノフ / パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43
チャイコフスキー / 交響曲第6番
ロ短調 Op.74 「悲愴」
※前日練習公開あり(Kitara
4月27日(水)10:40〜 無料)
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今年度第1回から大物ソリストの登場。ロン・ティボーコンクールで優勝し、「ソビエト最後のヴィルツゥオーゾ」と呼ばれたフェルツマンが十八番のラフマニノフを弾く。この曲はパガニーニの「24のカプリース」というヴァイオリン独奏曲のテーマを24の変奏曲にしたもの。CMなどでもよく使われている第18変奏はこれ以上ないほどロマンティック。指揮は札響音楽監督の尾高忠明。チャイコフスキーの悲愴はもはや説明の必要がない程の名曲中の名曲。第1楽章の第2主題はこれもまたロマンティックで有名な旋律だが、上記ラフマニノフの第18変奏と同じ変二長調。これは狙ったにちがいない・・。ロジックに比較して楽しむもよし。どっぷり感動の旋律に酔いしれるもよし。「名曲に名演なし」という格言(?)があるが、それは嘘。先入観抜きで楽しんで欲しいプログラムである。尾高惇忠氏は尾高忠明氏の実兄。2000年にシャンドスからリリースされた尾高&札響のCDには同氏の「オルガンとオーケストラのためのファンタジー」が収録されている。
なお当月よりトランペット首席に福田善亮(元都響首席)、チェロ首席に石川祐支(元東響首席)が加わる。おおいに注目してほしい。
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第479回 定期演奏会
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2005年5月27日(金)19:00開演、28日(土)15:00開演
指揮 高関 健
(札響正指揮者)
独唱 白井光子(メゾソプラノ)
、福井敬(テノール)
ハイドン / 交響曲第60番 ハ長調 Hob.I,60
マーラー / 交響曲「大地の歌」
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今年度プログラムの目玉のひとつ。マーラーの独唱付き交響曲「大地の歌」の登場である。6楽章からなるこの大曲、マーラーの代表作で人気も高いが演奏される機会が少ないのには訳がある。この曲を歌いこなせるソリストがなかなかいないのだ。今回のソリスト2人による演奏は満を持してのもの。特に終曲「告別」は約30分間で全曲の半分を占めるのだが、これをドイツ・リートの神的な存在である白井光子の独唱で聴ける機会を逃す手はない。札響正指揮者の高関健は後期ロマン派が大得意である。昨年の東京公演では急病の尾高に代り、「てるてる家族」を見てる最中に電話で呼び出され(笑・本人談)リハーサルのみでマーラー「巨人」を暗譜で完璧に振り、楽員や聴衆をおおいに驚かせた。この定期の「大地の歌」は現在日本で考えられる最高の組み合わせでの演奏と言っても言い過ぎではないだろう。曲は「永遠に・・、永遠に・・・」という歌詞で消え入るように終わり、交響曲第9番の冒頭へと繋がると言われているが、この日のフライング拍手だけは絶対にやめようっっ(血の叫び)。
ハイドンの60番は「うっかり者」の副題が付いた高関氏が好きそうな諧謔系。ハイドンは悪戯好きの知性派作曲家。こちらは気楽に楽しのが粋というもの。
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第480回 定期演奏会
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2005年6月18日(土)19:00開演、19日(日)15:00開演
指揮
岩城宏之(札響桂冠指揮者)
独奏 川久保賜紀(ヴァイオリン)
ショスタコーヴィチ / ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 Op.77
ストラヴィンスキー / バレエ音楽「火の鳥」(全曲)
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札響桂冠指揮者岩城宏之の登場は3年ぶり。今回は岩城氏の主要レパートリーである現代ソビエト作曲家の二曲。ストラビンスキーの出世作「火の鳥」は全曲版とあるので1910年版である。この曲は組曲版も含めると一体いくつ版があるのだろうか・・。CDで予習される方は”1910年版”とあるものを求めるとよい。「火の鳥」は同名の手塚治虫の漫画のモチーフにもなったロシアに伝わる民話である。物語に添って書かれており曲中に火の鳥の鳴き声や羽音なども擬音化されている。そうい部分も予習されるとさらに楽しめるはず。ちなみに岩城&札響で1997年7月、落成したキタラで行なわれた初めての定期演奏会でこの曲が演奏されている。ショスタコーヴィッチのヴァイオリン協奏曲は当時のソビエト政府から”ブルジョワ的頽廃作曲家”との名指しの批判を牽制するため発表を遅らせたといういわくつきの曲。この曲を献呈されたオイストラフはアメリカ演奏旅行で同曲を取り上げ大成功を収めた。4楽章形式でオーケストラも大活躍するシンフォニックな協奏曲である。今回ソリストの川久保賜紀がチャイコスフキーコンクールで最高位入賞を果たしたのは記憶に新しい。川久保は今年3月にインバル&ベルリン響と来札しキタラでメンデルスゾーンを好演した。
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第481回 定期演奏会
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2005年9月23日(金祝)19:00開演、24日(土)15:00開演指
指揮
尾高忠明(札響音楽監督)
独奏 スティーブン・イッサーリス(チェロ)
エルガー / チェロ協奏曲 ホ短調 Op.85
ラフマニノフ / 交響曲第2番 ホ短調 Op.27
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さて、いよいよ今年最大の目玉。「今年のその時」がやってきました(笑)。イッサーリスはヨーヨー・マやマイスキーと並び、言わずと知れた現代最高のチェリスト。英国の名家の出でメンデルスゾーンやカール・マルクスを先祖に持つ(らしい・・)。”比類ないテクニック”、”ガット弦が醸し出す美しい音色”、”音楽学の権威”。どれもこのチェリストの一側面にすぎず、この人の演奏を言い現す言葉はもはや無い。イッサーリス&尾高&札響のエルガーのチェロコンチェルト。心ゆくまで楽しんでいただきたい。馴染みが無いという人はCD屋さんに沢山あるイッサーリスのCDで予習される事をお薦めする。演奏会を何倍も楽しめるはず。ラフマニノフの交響曲第2番は尾高&札響の組み合わせで、PMF演奏会や特別演奏会でも既に演奏し各方面から高い評価を受けた。ラフマニノフ作品は尾高氏の主要レパートリー。尾高氏は同曲を前音楽監督のBBCウェールズ響ともCD録音し、今も発売されている・・はず(1992年.Nimbus
:IN5322)。今回は現在最高に息の合った札響と更に磨きのかかった演奏で、イッサーリスの興奮さめやらぬ中、大熱演になる事がおおいに期待できる。同曲は10月に予定されている韓国公演でも演奏される。2日連続で来る方も多いはず。この定期のチケットのお求めはお早めに!。
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第482回 定期演奏会
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2005年10月31日(月)19:00開演、30日(日)15:00開演
指揮 オッコ・カム
シベリウス / 交響幻想曲「ポヒョラの娘」
シベリウス / 鶴のいる情景(付帯音楽「クオレマ」Op.44より)
シベリウス / 交響曲第7番 ハ長調 Op.105
シベリウス / 交響曲第4番 イ短調 Op.63 他
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さて、先月に引き続き、「今年のその時」がまたやってきました。「その時」をこんなに連発していいのだろうか。もっと散らしたほうが営業的に得策なのでは?と思うほど今年の定期は”買い”である。オッコ・カムといえばパーボ・ベルグルンドと双璧をなすフィンランド人指揮者の巨匠。私は中学生の頃、カム/ベルリン・フィルのシベリウス交響曲二番のレコード(DeutscheGrammophon:MGW5233)をそれこそ擦り切れるくらい聴いたものだ。カムはヘルシンキ生れでフィンランド国立歌劇場のコンサートマスターを経て、カラヤン・コンクールで優勝。指揮者デビューを果たした。ヘルシンキ放送響のシェフも務めたが、ベルリン・フィルとの演奏や録音が多いのはカラヤンに認められたからだろう。この人の演奏は私が思うかぎりにおいて、とても素朴。作り込まれた感がなく、淡々と音楽が進んで行く。そしてふと気がついた時には恐ろしいほど最高潮に達したオーケストラの中に引き込まれている、という感じ。作為的な部分が無いだけに、かえって内なる凄味のようなものを感じるのだ。ひょっとしてフィンランド人とはそういう人たちなのかも知れない。楽曲をドラマティックに作り込むカラヤンとは随分毛色の違う演奏スタイルだ。今回の交響曲4番と7番はシベリウスの全7曲ある交響曲のうちで、どちらも比較的小編成で室内楽的な趣の曲である。札響からどれだけ透明感と”内なる凄味”を引き出してくれるのか非常に楽しみだ。私自身、カムの指揮でシベリウスを演奏できるのを非常に楽しみにしている。この回もCDでの予習を是非ともお薦めしたい。
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