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「札響は家族 ともに成長したい」正指揮者の円光寺さん19日に定演デビュー札幌交響楽団正指揮者の円光寺雅彦さん(四四)が一九日夜、札幌・キタラで第四百十回定期演奏会を執る。昨年の就任依頼,定期を振るのは始めて。「キタラの性能を生かして札響トーンを作り上げ,楽団とともに成長したい」と抱負を語る。 札響とは1982年3月,旭川市民文化会館でシューベルトの交響曲『未完成』などを指揮したのが出会い。「副指揮者だった東京フィル以外の楽団を振ったのは札響が始めて。ベテランの楽員の方々を前に,無我夢中だった』と振りかえる。札響にはその後,しばしば客演した。 ”正指揮者デビュー"はドボルザークの「謝肉祭」と「交響曲第7番」。 当初は,この作品の泥臭さに違和感があった,というが,九二年作曲家の故郷チェコの楽団に客演,作品を生んだ風土に触れ,考えが変わった。一方で『死ぬまで勉強しつづけたい』と言うベートーヴェンの作品からピアノ協奏曲第3番(独奏長岡純子)を取り上げ,「円光寺色」も出す。 3月末で,十年間常任を勤めた仙台フィルを去る。本拠地ホールもない中から若い楽員とともに音楽作りを目指してきただけに,周囲から惜しむ声が上がった。しかし、新たな飛躍を札響に求めた。「創立二六年の仙台フィルは青年、三八年の札響は大人のオーケストラ。家族の一員になったつもりで頑張りたい」 昨春,同時期に常任指揮者に就任した尾高忠明さんは桐朋学園時代の恩師。指揮の名教師として知られる故・斎藤秀雄さんの最後の教え子として「尾高さんが定めた方向性を日常的な場でも保ていく」。この1年間に,道内公演は10回を超えた。今後は7月の定演で特集「二十世紀音楽ー同時代セクション・1940年代」を振る予定だ
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