札響NOW

〜第1回〜 【札響ワークショップ】

03年より札響ワークショップが本格的に始動した。学校単位、体育館などでオーケストラ演奏を聴かせる従来の音楽教室とは全く趣の異なる音楽教育システムである。
教室単位、もしくは地域の児童など数十人を対象に数人の楽員が指導にあたる。指導内容もリズムやメロディーの断片などを使った遊びがメインで、演奏はサブ。
子供たちの自主性をなるべく引き出しながら、”音”から”音楽”を創造する。あるいはそのプロセスを体験してもらうのがこのワークショップの目的である。

札響ワークショップが始まり3年が経つ。最近では全国のオーケストラはもとより各界からも大きな注目と評価を得て、札響を特色づける事業の一つにまで成長した感がある。しかしながら、国内ではオーケストラ楽員による本格的なワークショップに先例はほとんどなく、未だ手探りの部分も多々ある。最近は一回のワークショップに1〜2名のファシリテーター(先導役)が全体をリードする制度を導入したり、あるいは直近の自主公演の演目のモチーフを計画的にワークショップに取り入れるなど洗練性も増した。


The Daily Yomiuri (Feb.24,2005)に紹介された札響ワークショップ

今回の札響NOW第1回は、札響ワークショップ黎明期より中心的な役割を果たしてきた大垣内(パーカッション)、島方(ホルン)両氏へのインタビューと、去る’05年6月9日に札幌市内の小学校で行なわれた実際のワークショップから、札響ワークショップの今をご紹介する。


大垣内英伸(パーカッション)、島方晴康(ホルン)両氏へのインタビュー
インタビュア:荒木均


大垣内英伸(左)、島方晴康(右)。

 

まず最初にお二人が札響ワークショップの中心になったいきさつをお聞かせください。改革の最初の年の企画委員会で専務理事の佐藤光明さんよりお二人と森さんの3人が教育プログラムグループ委員に指名されましたよね?

島方 そうです。でも企画委員会というか、あの改革が始まる少し前から今のワークショップに似た取り組みは親しい数名の楽員で初めていました。もともと中高生のブラスバンドの指導は行っていたのですが、02年に南区在住の楽員に呼びかけて東海第四高校をお借りして南区の中学生を対象とした講習会を無料で開きました。高校生が裏方で参加してくれたり、参加した中学生たちの反応もよく手応えを感じました。その後こうした取り組みを継続して行うことを中吹研の先生にお願いしたところ、向こうもそれは良いということで全面的に協力してたいだけることになりました。助成金の目処も立ち、翌年は参加者が200名から400名に増えました。
その流れを佐藤光明さんに紹介したところ教育プログラム委員に指名されたというわけです。でも教育プログラムをオーケストラの事業に取り入れてやっていくべきだということは、演奏旅行の車中で大垣内君との会話が始まりですね。

オケ連の事業の一環で元ロンドン響のヴァイオリニストでワークショップ音教の先駆的な人であるマイク・スペンサー氏を札響にもお招きして講習会をやったのは実にタイムリーだったわけですね。あの三日間に及ぶ講習会には改革が始まったばかりでしたが30人ほど楽員がしましたよね。その後、団として今の形に落ち着くまで一回ごとのワークショップの参加楽員を募るのに苦労したり、プログラムを考えるのにいつ果てるともない会議を繰り返したり色々ありました。お二人が考える問題点や課題などお話しください。

島方 そうですね。でもいつだったか森さん(フルート)がオーケストラの練習前に皆の前で「子供たちの手を握って笑顔に触れてくれ。必ずワークショップの価値がわかる」って演説してくれでしょ。あれには驚いたけど感謝してるな。あの後参加楽員が増えたし声をかけやすくなった。

大垣内 マイク・スペンサー氏の講習会は今の札響ワークショップの土台になったと思う。でもやはりイギリス式というか全てが日本の土壌で僕らがやって上手くいくものばかりではないと思う。取捨選択してプログラムを工夫していくことはこれからも必要。その上で考えたいのが一つには教育現場とのギャップかな。現場の先生方は例えば子供たちをどう並ばせるのか?、−静かに話しを演奏や話しを聞かせるか?−っていう事に腐心して、打合わせの時に僕たちと意見が衝突したりする。元々子供の自主性を発展させて音楽を創造していくのが目的だから、あまり形や規則みたいなもので縛られたくない。実際、今日はメチャクチャで収集がつかなかった・・・と反省しきりの回の方が、時間通りに綺麗にカリキュラムをこなせたという回より、後で子供たちから帰ってくる反応がずっとよかったりする。”楽しかった!”と終わってから握手をせがまれるのもてこずった回の方が多い。だからメチャクチャでいいという意味ではないですよ(笑)。
一回のワークショップで行えるプログラムは通常3〜4個だけど、学校によっても反応は全然違うので実際はずっと多くプログラムを用意していかないといけない。そのためにも事前の会議や準備は重要。今一番問題だと感じているのは札響のワークショップに対する事務局体制。トップダウン方式で事務局全体として取り組んで欲しい。

ワークショップ委員会の外から見ていると、特別業務の中でもワークショップは特に負担が大きいように思います。現在ファシリテーターをやるのは太垣内さん、島方さんと続いて森さんあたりが圧倒的に多いけど、他には、土井さん、信田さん、竹内さん、佐藤さん、辻さんくらいかな?。もっと増やしていかないといけませんね。

島方 そうですね。大変な割に成果の見えにくい事業ではあります。今やっているのは音楽の種まきみたいなものです。結果は子供たちが大人になる数十年後に見えるでしょう。それこそ子供たちの笑顔が報酬と思わなきゃやってられない。でもイマジネーションを子供たちから貰えたり、やりがいは感じています。ファシリテーターは増やしていきたいですね。とにかくやるのみです。
さっき大垣内君が言った現場とのギャップは僕も感じています。先生たちの中にはワークショップに”評価”を求め方もいるのですが、僕たちがやろうとしているワークショップに模範解答はないという事を理解していただくのに苦労します。もともと評価が嫌いで音楽家になった人の集団ですしね。オーケストラは(笑)。

最後にお二人が考える札響ワークショップの今後についてお話しください。

大垣内 ファシリテーターは本当に増やして欲しいですね。とにかく雑用が多いです。これから続けていくにあたって事務局に専従職員も必要だと思う。楽員もイヤイヤ参加というのでは困るし、確かに向き不向きもあるので難しいけど、皆が一定回数参加するような方法を検討していいかもしれない。

島方 ワークショップ事業は札響の未来を考えればけして無視できない。札響はこれを主幹事業に捉えて取り組んでほしい。例えば楽員皆が2割の力を振り向けて、音楽監督の力も借りて。−そしてワークショップは地域密着の草の根的原動力にもなりえると思う。例えば最初の東海第四高校でのアイディアの様に、各区ごとに楽員が学校を頻繁に訪れるような事が出来ればいいと思う。今の小学校の授業は音楽の時間は削られているけど生活という授業が出来たり、従来の学校全体での音楽教室は難しくても、小人数単位でこちらから訪問する分には歓迎されるチャンスはあると思う。とにかく小さな単位のコミュニティーに札響が入り込んでいける絶好の手法だと思うし、それこそ地域貢献であり、定期演奏会などとは別にこれから札響が取り組むべき姿だと思う。

【おわり】


6月9日、市内小学校で行なわれたワークショップ


注文していたハンドベルと音程棒が札響の練習場に届く。今回から新たに登場するワークショップグッズ。

 


ワークショップ前々日に行なったミーティング。毎回こうした会議を重ねてワークショップに臨む。けっこう準備にも時間がかかるのだ。

 


ワークショップ当日。今回初登場の音程棒を使った遊びの手本を見せる楽員。5つの音を組み合わせてどんな旋律ができるかな?。今回はリレー式の遊びにしてみました。生徒が一斉にチャレンジ。あちこちで楽しげな笑いが起きました。まずまずの成功。

 


次ぎは、「火の鳥」のモチーフを使った、音楽劇の創作。生徒が3グループに別れて、それぞれ封筒に入った”司令”を受けとります。このグループに渡った司令は「魔法が解ける」。

 


グループの中からさらに、リズム、音楽、踊りに別れて、”司令”をいかに音や踊りで表現するか考えます。楽員たちはあくまでお手づだい。

 


このグループの司令は?、リズム担当?、旋律?、それとも踊りですか?


さあ、いよいよ発表。リズム、旋律、踊りがひとつになって皆の前で演じます。最初はちょっと緊張ぎみ。演じおわったら他のグループの子たちに、今のは何だったのか当ててもらいます。

 


後半は、みんなが考えた「火の鳥」をストラビンスキーはどうやって音楽にしたか?。それを演奏しました。上の写真は最後にスクールバンドに札響楽員が混じって子供たちが普段練習している曲を演奏している様子。

 


やりおわった後は汗びっしょりになります。演奏会とはまた違った真剣勝負であり重労働と感じます。カッコつけるわけではないですが、子供たちたが打ち解けてくれた瞬間が嬉しいです。

こうしたワークショップは演奏会の間を縫ってスケジュールが組まれているため、まだ回数は多くないですが、これからも継続して地に足の付いた活動になっていけばいいと思います。そしてまだまだ発展していくと思います。活動をご理解いただき益々のご支援、ご協力を賜れば幸せです。

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