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第498回 定期演奏会
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2007年4月27日(金)19:00開演、28日(土)15:00開演
指揮 広上淳一
独奏 小菅優(ピアノ)
ヴェルディ/歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第4番
ト長調
ベルリオーズ/幻想交響曲
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今年度定期は人気の高い大曲が目白押しです。どれも聴き逃せませんが今回の広上さんの幻想も絶対にお薦めです。広上さんは天才肌というかラテン系というかとにかくぶっ飛んだ個性の持ち主です。ホテルのスリッパのまま練習場に現われ、指揮台の上でスリッパを脱いだかと思うと靴下には大きな穴・・。愛すべきキャラです。しかし音楽はスリリングで気品に満ちあふれ、一旦曲が始まると最後まで聴く人をまったく飽きさせません。
幻想交響曲は音楽史上非常に重要な位置を占める名曲です。医大を中退した若きベルリオーズが当時の人気女優に一方的に恋して当然ながら破れて失意で書いた曲です。”阿片で幻覚を見た”など思わせぶりな注釈が付いていますが、それについてはよく分かっていません。全編をグレゴリオ聖歌『怒りの日』のテーマが貫いており第5楽章ではっきり現われます。それに注目するとさらに楽しめそうです。広上さんが音楽史上突然変異的に現われたこの大曲をどう料理するのか非常に興味深いです。
ピアノの小菅さんはマスコミにもたびたび登場する売れっ子ピアニストですが、札響とはかなり昔からのお付き合いです。ベートーヴェンのピアノ協奏曲4番は、5番の「皇帝」の勇壮さとは対照的な玄人ウケする洒落っ気のある曲です。こちらも楽しみです。
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今回の予習用お薦めCDはこれ!
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幻想交響曲はミュンシュ指揮/パリ管弦楽団の黄金期の名盤中の名盤をお薦めします。奇跡的と言っていいほど名演だと思います。私の中でのきらびやかなパリ管の音の原風景になっています。ミュンシュがオケを思いのまま、自由自在に操っている様も痛快です。これを越える「幻想」のCDは無いと思います。
ベートーヴェンは「皇帝」とカップリングになっているアシュケナージ/メータ/ウィーン・フィルの名盤を挙げます。こちらも持っていて損はないです。
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第499回 定期演奏会
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2007年5月25日(金)19:00開演、26日(土)15:00開演
指揮
高関健(札響正指揮者)
独奏 エリック・ハイドシェック(ピアノ)
メンデルスゾーン/序曲「静かな海と幸ある航海」
モーツァルト/ピアノ協奏曲 第18番
変ロ長調
バルトーク/オーケストラのための協奏曲
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大巨匠ハイドシェックを迎えての定期演奏会です。ハイドシェックはご存じの方も多いと思いますが、ベートーヴェンやモーツァルトを得意とするドイツ系フランス人ピアニストでかのコルトーの弟子です。CDも沢山出てます。今回は得意のレパートリーの演奏です。老境にさしかかったハイドシェックがどんな名演を聴かせてくれるのか非常に楽しみです。
メインのバルトークの”オケコン”は、晩年のバルトークがナチスに追われてアメリカ亡命中に作曲した傑作です。協奏曲と言ってもソリストがいるわけではなく、オーケストラの各パートに順番にソロイスティックな演奏を披露させます。これは当時バルトークがボストン響に演奏させることを念頭に書いた曲で、随所に見せ場があり非常にカッコイイ曲です。同時にオーケストラの力量が試されるコワい曲でもあります。近現代物を得意とする正指揮者高関さんの名人芸的な指揮もお楽しみいただけます。
ハイドシェックのピアノといい、今回の定期は絶対に聴き逃せません。
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今回の予習用お薦めCDはこれ!
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ピアノ協奏曲は今回のソリスト・ハイドシェックの全集のバラ売りがありますので文句なく挙げておきます。
オケ・コンは名曲だけに名盤も多く私も何枚も持っていて迷います。ショルティーの豪快な演奏も有名で捨てがたいですが、私はこのドラティー版をお薦めすることにします。色彩感豊かでソロを受け持つ各楽器が浮き立つ立体的な演奏です。終楽章の最弱音からジワジワーーっと盛り上がってくる感じも快感です。録音もとても良いです。安いですし是非一度聴いてみてください。
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第500回 定期演奏会
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2007年6月23日(土)19:00開演、24日(日)15:00開演
指揮
尾高忠明(札響音楽監督)
独唱 松田
奈緒美(ソプラノ)、ビルギット・レンメルト(メゾ・ソプラノ)
合唱 札響合唱団、札幌放送合唱団、札幌アカデミー合唱団
マーラー/交響曲 第2番
ハ短調「復活」
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記念すべき第500回定期演奏会は何年も前から色々な企画が持ち上がっては消え、最終的にこの曲に落ち着きましたが、奇を衒った企画よりも私はいいのではないかと思います。「復活」は言うまでもなくマーラーの代表作であり好期ロマン派を象徴する名曲です。オケだけで演奏される第3楽章まではどの楽章も個性的で豊かな旋律に溢れ、”角笛三部作”の一角を占める第三楽章はケン・ラッセル監督の映画「マーラー」でも効果的に使われていました。オーケストラの性能を存分に吟味できるのではないかと思います。
第4楽章からは声楽(ソプラノ&アルト)入りになり、第4楽章で満を持したかの様に歌われるアルトの独唱は鮮烈な印象を与えます。今回ソリストのビルギット・レンメルトはラトル/ウィーン・フィルなんかとCDを出しちゃってる超世界クラス。日本を代表するソプラノの松田奈緒美さんとの二重奏に超期待しましょう。
そして今回何といっても注目が集まるのが札響合唱団を中心とする合唱陣です。昨年12月の札響合唱団デビュー公演だった「第九」では、迫真の合唱に主役を持っていかれた感がありました。今回は第5楽章で水を打ったような静けさで登場する合唱のみの賛歌はいやがうえにも期待が高まります。
好期ロマン派を得意とする音楽監督の尾高さんの指揮のもと、札響の”今”を心ゆくまで堪能していただきたい特別な定期です。
P.S.書き忘れましたが、もうすぐ5年になる恒例ロビーコンサート。毎回楽員のアンサンブルでしたが、今回は札響合唱団が登場します。これも聴き逃せません。
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今回の予習用お薦めCDはこれ!
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この曲のCDは数え切れないほどあります。有名なマーラー振りだけ挙げても、クーベリック、ショルティー、ブーレーズ、アバド、インバル、バーンスタイン・・・、どれも名盤揃いで絞りこむのは難しいです。
なので今回は私が実演を聴いたことのある2者をお薦めしておきます。昔それぞれ来日公演をサントリーホールで聴いて感銘を受けました。(インバルは5番でしたが)。どちらも知性派の演奏で気に入ってます。
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第501回 定期演奏会
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2007年9月21日(金)19:00開演、22日(土)15:00開演指
指揮
尾高忠明(札響音楽監督)
チャイコフスキー/交響的バラード「地方長官」
チャイコフスキー/弦楽セレナード ハ長調
チャイコフスキー/交響曲 第5番 ホ短調
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前回注目の500回定期は大盛況で幕を閉じることができた。気分も新たに501回定期に臨みたいところだ。今回は尾高さんのプログラムとしては非常〜〜に珍しいオール・チャイコフスキープログラムである。しかも弦セレ、交響曲5番というベタなもの。実は交響曲第5番は超有名な曲であるが、尾高・札響では今回が初めてである(交響曲第4番は7月のPMFウェルカムで演奏したが、この曲も初めてであった)。
秋山さんの時代はチャイコフスキーはしばしば演奏されたが、尾高さんの時代になってめっきり演奏回数が減った作曲家である。今回は音楽監督就任4年目にして満を持しての演奏と思われる。
チャイコフスキーの5番は”演歌”、”ムード音楽”と揶揄されることもあり、有名ではあるが難曲である。知性派の評価が高い尾高さんがこの曲をどう持っていくかが聴きどころである。
そして、弦楽オーケストラのために書かれた曲は数多く存在するが、”弦セレ”と言えばこの曲が真っ先に挙げられるほどの弦楽オケの代表作である。モーツァルトを崇拝していたチャイコフスキーが”アイネ・クライネ・ナハトムジーク”を意識して作った曲である。最近は冒頭部分が笑を誘う演出のTVCMで使われているが、こういう有名になり方もどうかと思う(笑)。4楽章ともそれぞれ個性的で、弦楽器の魅力を存分に堪能できる名曲である。
「地方長官」については私は全く知らない曲であった。この曲に関しては玉手箱的な楽しみ方でよいのだと思う。
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今回の予習用お薦めCDはこれ!
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交響曲第5番は有名なので名盤が多数存在しますが、敢えてスヴェトラーノフ/ソビエト国立響(ロシア国立響ではない)をお薦めします。ソビエト共産軍が一糸乱れぬ行軍で責めてくるような迫力です。稲妻の様な金管、強制収容所チックなアンサンブルの弦・・、まだ聴いてない方はCDが無くならないうちに是非どうぞ。やっと見つけてリンクしました。
弦セレは無難なカラヤンのを挙げておきます。ゴージャスな弦セレです。
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第502回 定期演奏会
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2007年10月19日(金)19:00開演、20日(土)15:00開演
指揮
サー・ネヴィル・マリナー
独奏 アラベラ・美歩・シュタインバッハー(ヴァイオリン)
ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲
ニ長調
メンデルスゾーン/交響曲 第3番
イ短調「スコットランド」
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さて、今回は今年の目玉の一つです。マリナーですよ。マリナー。昨年に今年の年間スケジュールを見て「へ〜〜!、マリナーが来るの!」と思わなかった楽員はいないと思います。映画「アマデウス」の録音を担当したとか、まあ経歴はいろいろありますがとにかく世界超一流の指揮者です。練習3日のうち2日間は「スコットランド」のみという、非常に絞りこんだスケジュールです。「スコットランド」は情緒的なだけでなくとても内容の深い曲です。世界の巨匠による今回の定期は絶対に聴き逃さないでください。
ヴァイオリンのアラベラ・美歩・シュタインバッハーも話題満載の若手ですね。ドイツ人と日本人の混血シリーズではチェロの石坂団十郎とか最近は世界で目立った活躍をしている人が何人もいますが、”ムターにつぐ”という超ド級の評価を受けている点ではこの人は一番目立っていますね。
とにかく聴き逃せません。仕事を休んででも来るべき定期です。
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今回の予習用お薦めCDはこれ!
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ショルティ/シカゴ響によるこのCDのスコットランドは超お薦めです。オケが素晴らしく上手でかつ演奏に哀愁がただよっています。私は大学時代このCDに出会いましたが今だにこれが私のベスト版です。メンデルスゾーンの交響曲はとっつきにくい・・と思っている人は是非買って聴いてみてください!
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第503回 定期演奏会
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2007年11月9日(金)19:00開演、10日(土)15:00開演
指揮 尾高忠明
(札響音楽監督)
独奏 ポール・メイエ(クラリネット)、堀米
ゆず子(ヴァイオリン)
ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
ドビュッシー/クラリネットと管弦楽のためのラプソディ
武満徹/ ファンタズマ/カントス
武満徹/遠い呼び声の彼方へ!
ドビュッシー/交響詩「海」
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今回のプログラムはこの上なくお洒落な組み合わせである。
ドビュッシーと武満は透明感というか淡い色彩感や秘めた官能美とでも言おうか、そんなところがとても似ているし、水をテーマにした作品が多いことも共通している。武満がドビュッシーから多くの影響を受け、ドビュッシーは日本文化に影響を受けたことを考えても両者の作品を並べて聴いてみるのは面白い。
また二人の世界的なソリストの演奏も非常に楽しみである。ポール・メイエは超世界的クラリネット奏者である。クラシック好きの方なら彼の演奏が入った室内楽かコンチェルトのCDの1枚や2枚家にあるはず。
そして尾高さんは!今回の演奏会の前日に還暦を迎える。そう、60歳代最初の演奏会なのである。武満の2作品は共に尾高さんが初演したそうである。この演奏会への思い入れはかなり強そうだ。
武満とドビュッシーを並べる企画はたまに見るが、武満とドビュッシーだけで組んだ演奏会はほとんど見かけない。『武満が愛した札響』ならではの演奏会。独特の音世界に2時間たっぷり浸っていただきたい特別な定期だ。それから今回は11月より就任したコンサートマスター三上亮が定期初登板する。こちらも注目である。
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今回の予習用お薦めCDはこれ!
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尾高さん指揮のファンタズマ/カントスがありましたので挙げておきました。
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第504回 定期演奏会
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2007年12月7日(金)19:00開演、8日(土)15:00開演
指揮
ゲルハルト・ボッセ
独奏 福田
善亮(札響トランペット首席)
ハイドン/トランペット協奏曲
ハイドン/交響曲 第6番「朝」
ハイドン/交響曲 第7番「昼」
ハイドン/交響曲 第8番「晩」
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今回はゲルハルト・ボッセさんでオール・ハイドンプログラムです。ボッセさんは2003年の『札響の第九』を指揮して以来、非常に楽員の信頼が厚く学内でも再演を望む声が高く、2005年1月定期のオール・モーツァルトプログラムに続いての定期登場です。
今回演奏されるハイドンの初期の交響曲はハイドンがエステルハージ侯爵家の若き楽長だった時代に作曲されたもので、ボッセさんの解説によると、当時のエステルハージ家も財政難で楽員が14名しかおらず、とても小さな編成のオーケストラのために書かれた曲だそうです。そのオーケストラに新しく召し抱えた奏者を侯爵に紹介する意味もあって、各パートに技巧的なソロが散りばめられています。なので編成は小さいながら華やかな面も持っている3曲です。
今回は札響もボッセさんの希望で当時の編成に近づけて、極限まで小さくした弦楽器が(8人ー6人ー4人ー3人ー1人)の小編成での演奏です。ここまで小さい編成は札響定期初ではないでしょうか。ボッセさんの練習はアーティキュレーション(音楽的な語法)などドイツ・オーストリア音楽の神髄を札響に注ぎ込むかのようで、非常に勉強になります。ケヴァントハウス管弦楽団の元コンマスという経歴の人なので弦楽器に対する要求は特に高いです。乞うご期待。ちなみにピリオド奏法ではないです(笑)。
トランペット協奏曲は、この楽器のためにかかれたものの中で一番有名な曲ではないでしょうか。名曲中の名曲です。ソロは2005年に東京都響より札響に来た福田善亮がいよいよ定期登場です。現代の日本を代表するトランペット奏者です。こちらも聴き逃せません。
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今回の予習用お薦めCDはこれ!
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第505回 定期演奏会
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2007年1月25日(金)19:00開演、26日(土)15:00開演
指揮 高関健(札響正指揮者)
独奏 ピーター・ウィスペルウェイ(チェロ)
ケージ/四季
ルトスワフスキ/チェロ協奏曲
R.シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
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今回の予習用お薦めCDはこれ!
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第506回 定期演奏会
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2007年2月22日(金)19:00開演、23日(土)15:00開演
指揮
尾高忠明(札響音楽監督)
独奏 デヤン・ラツィック(ピアノ)
モーツァルト/ピアノ協奏曲 第23番
イ長調
ブルックナー/交響曲 第9番
ニ短調(ノーヴァク版)
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今回の予習用お薦めCDはこれ!
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第507回 定期演奏会
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2007年3月21日(金)19:00開演、22日(土)15:00開演
指揮 小林研一郎
スメタナ/連作交響詩「我が祖国」(全曲)
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今回の予習用お薦めCDはこれ!
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